【完】溺愛フラグが立ちました。



「残念だなぁ」

「……?」


 残念って何がですか?

 私はまだ、なにも言っていませんが……。


 かなり揺れていて。

 もはや選択肢はひとつしか、ないくらいなのですが。


 逃げるつもり、ないです。


「ここが新幹線の中でなくて。知冬さんと二人きりなら。もっと言いたいことも、したいことも沢山あるんですけどねぇ」

「っ、え、」


 なんですかそれ。


「私の想いがどれだけのものか。もっとお伝えすることができるでしょうに」


 甘く耳元で囁かれるその台詞は、今、世界中で私だけがトノセさんからかけられている言葉で――。


「アイツよりずっと。俺のこと。頭から離れないようにできるのに」


 とても刺激的で。予測不可能で。


「さすがに公共の場なので。我慢することにします」


 トノセさんっ……。

 貴方は今、なにを考えているんですか。


「さっきの……答えって……」

「就職の話ですか」

「はい」

「まだわからないんですか」

「……はい」

「降参しますか?」

「……っ、ハイ」





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