【完】溺愛フラグが立ちました。
――新幹線が、終点に到着したあと。
「さぁ、おいで」
流されるままに、駅から歩いてすぐのホテルにやってきた。
私はトノセさんの泊まるホテルに追加料金を払い泊めてもらい、朝方までトノセさんの腕の中で過ごした。
思い出すとゆげがでそうなくらい熱い夜だった。
私の人生において一生分の愛を、この数時間で受け取ってしまったんじゃないかという気さえする。
なのに、
「いいねぇ。その顔」
「どんな顔ですかっ……」
「何度でも抱きたくなる顔」
「だから、それはどんな顔ですか……」
「見たい? 次は鏡の前でする? 洗面台まで運んであげようか、お姫様」
「……イヤです」
「そういうと思った」
トノセさんは、まだ私をこんなにもドキドキさせてくる。
「お、お仕事は……?」
「行くよ」
言葉と裏腹に唇は首筋を伝い、手は服の中へと伸ばされていますが。
「だったらこんなことしてる場合じゃないですよね」
「それもそうだ。我慢しよう。夜まで」
手が引っ込められる。
「……行って、らっしゃい」
「寂しい?」
「えっ……」
「離れたくない? 俺についてくる?」
いいの?
今日あるのって、T-GAMESの会議でしょ?
ファン的には願ったりかなったりな場所だ。
関係者しか立ち入れない領域で、一体なにが行われるんだろう……。
「冗談だよ。俺が仕事にお前を連れていくわけないだろ」
「……っ、もう……」
「どんなにそばにいて欲しくてもね」
「!」