記憶
ナースコールのボタンを押したほうがいいのだろうか。
そうゆう知識はあることを考えると、私は以前にも入院をしたことがあるのだろうか。
そもそも入院しているとは限らない。なにか事故や病気になって突然ここに運ばれただけかもしれない。
とにかく目が覚めたことと、なにも覚えてないことを知らせたほうがいいのではないか。
だけど、なんて言えばいいんだろう。
なにも覚えてません。と言えばいいのだろうか。
それとも誰かが来るのを待って、その時に言えばいいのだろうか。
悶々と悩んでいる中、コツコツと足音が聞こえ私の病室の前で止まった。
静かにドアが開き、看護婦さんらしき人、いや、看護婦さんが入ってきた。
私は看護婦さんが入ってくるのをじっと見つめた。