記憶
「意識は戻ったようだね。ご家族に連絡して。それから検査の準備を。」
その医師は周りの医師にそう言うと、近くの医師と話していた。
医療用語だからなのか、自分の頭が回ってないのか、あまりその会話を理解することができなかった。
それよりもこの状況に恐怖と不安を感じていた。
怖い。
すると一人の女性の医師が声をかけてくれた。
医師には似合わず少し焼けた肌に優しそうな雰囲気は私に少しだけ安心感を与えてくれた。
「大丈夫?意識が戻って良かった。色々混乱しているかもしれないけど、これからすぐに頭の検査するからね。
ご家族の方もすぐに来てくれるから。」
「はい…」
私はなんて答えていいのか分からずに短く返事をした。