嘘つきなキミの甘い罠
あたし、全然面食いじゃないし。
むしろ、人間は外見より中身だ! って思ってるし。
一目惚れなんて信じてなかったのに、アッサリと。
だってそれくらい、悔しいけどカッコよかったんだもん……。
だけどすぐにこのことを後悔することになるなんて、この時は思わなかった。
『に、新渡戸くんってなんか……偉人っぽい名前だね!!』
あまりにテンパりすぎて、反射的に口を突いて出てきたのはこんな言葉。
何言ってんだあたし!! と猛烈に後悔の念に駆られていると、意外にもフッと笑った彼。
『新渡戸稲造? 』
『あ! そうそう! そんな名前の……』
『鋭いね。……あの人、実はうちのご先祖様なんだ』
『どひぇえええ!? そ、そうなんだ〜! 由緒正しきお家なんだねっ』