土方歳三の熱情
chapter4
島田さんが言ったように、

それは戦いというよりは駆除とか掃除とかいった表現の方がふさわしいものだった。

二番隊の隊士達は三人か四人ずつの集団に分かれて、
一つの集団で一人の浪士を取り囲んで討ち取る。

二番隊には死者どころかケガ人すら出ていない。

最初に浪士達の退路を断つと後はゆっくりと確実に一人ずつ討ち取っていく。

なるほどこれが新撰組の集団戦法かと感心していると
行き場を失った三人の浪士達がこちらに斬りかかってくる。

一人目の浪士の打ち込みを木村さんが受ける。
動きの止まった相手の小手を私が打つ。
剣を落とした相手を島田さんがバッサリと斬り捨てる。
そこまで一秒もかかっていない。

相手の浪士達は三人でいっせいに斬りかかったつもりなのだろうが、
そこには数秒ずつのタイムラグがある。

私達三人は数秒の内に一人を始末してしまうから、
結果として三対三の戦いにはならない。

一瞬のうちに一対三の戦いが三回繰り返され、
後には三人の浪士達の死体が転がっている。
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