土方歳三の熱情
chapter6
皆からの哀れみの視線を感じながら、
私は夕食を食べずに部屋に戻った。

昼間あの水あめの塊を食べてからもう結構な時間が過ぎているのに、
いっこうに胸焼けがおさまらない。

島田さんは結局あの丼で七杯も食べてたのに
あたり前みたいな顔で食堂に夕食を食べに行っていた。

いったいあの人の消化器官はどうなっているのだろう?

悪い人ではないのだけれど、
常識で測れない部分が多すぎる。

いつの間にか私は、
土方さんの手で支えられた時の感触を思い出している。

体は細いけど土方さんの手からは力強いバネのような筋力を感じた。

きっと体の奥にはまだまだ深い力を備えているのだろう。

土方さんの力強さ、
土方さんの息遣い、
土方さんの細くて無駄のない鼻筋、
土方さんの男らしい体臭、

気がつくと私はさっきから土方さんのことばかり考えている。

こんな風に一人の男の人が頭から離れなくなるのは初めてだ。
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