土方歳三の熱情
「それで、定例の幹部会っていうのは時間がかかるものなんですか?」

「いや、定例の幹部会はアッという間に終わっちゃうことが多いよ。
今日ももう終わってるんじゃないかな。
で、その後の雑談が長いんだ。
特に古くからいる人達は仲がいいからね。
今日も島田さんはそのまま永倉さんとか原田さんとかと飲みに行っちゃうんじゃないかな、たぶん」

「そうなのかぁ、じゃあ退屈ですねぇ」

「たしかに、島田さんがいると退屈しないからね」

そこに背の小さい男が通りかかる。

ピンと背筋を伸ばして胸を反らし、小さな体を精一杯に大きく見せようとして歩く小男は私と木村さんの前で立ち止まる。

「やあ、木村くん。そっちはたしか篠田くんだね」

「はい、お疲れ様です武田さん」

木村さんは姿勢をただしてお辞儀をする。

私も同じく姿勢をただして挨拶する。

「はじめまして、篠田です」
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