土方歳三の熱情
「体術の修練は新撰組の隊士として当然の義務だ、私の部屋に来なさい」
「新撰組にそんな義務など作った覚えはないぞ」
声のした方に顔を向けると土方さんと木村さんが立っている。
武田さんは私の両腕から手を離して土方さんに一礼する。
「君に、新撰組の隊士に義務を課すような権限があったか?」
土方さんは鋭い目つきで武田さんを問いただす。
「いえ、義務と言ったのは言葉のあやでして、
篠田くんがあんまり遠慮するものですから。
私が教えてやったらきっと彼も……」
「篠田に体術は必要ない」
土方さんは武田さんの言葉をさえぎって、強い口調でそう言い切った。
「しかし、いついかなる時も戦える準備があった方が……」
武田さんは消え入りそうな小さな声で言う。
「それよりも、義務ではないことを義務だと言って新人を言いくるめるようなやり方は士道に背くと思わんか?」
「私は篠田くんのために良かれと思って……」
武田さんはもごもごと言いながらいそいそと立ち去る。
遠ざかる武田さんの後姿を見送ってから土方さんが私の方に向き直って問いかける。
「新撰組にそんな義務など作った覚えはないぞ」
声のした方に顔を向けると土方さんと木村さんが立っている。
武田さんは私の両腕から手を離して土方さんに一礼する。
「君に、新撰組の隊士に義務を課すような権限があったか?」
土方さんは鋭い目つきで武田さんを問いただす。
「いえ、義務と言ったのは言葉のあやでして、
篠田くんがあんまり遠慮するものですから。
私が教えてやったらきっと彼も……」
「篠田に体術は必要ない」
土方さんは武田さんの言葉をさえぎって、強い口調でそう言い切った。
「しかし、いついかなる時も戦える準備があった方が……」
武田さんは消え入りそうな小さな声で言う。
「それよりも、義務ではないことを義務だと言って新人を言いくるめるようなやり方は士道に背くと思わんか?」
「私は篠田くんのために良かれと思って……」
武田さんはもごもごと言いながらいそいそと立ち去る。
遠ざかる武田さんの後姿を見送ってから土方さんが私の方に向き直って問いかける。