土方歳三の熱情
chapter8
夕食後、
私は部屋に戻り一人であらためてこれから先のことを考えていた。

篠田には男色の気があるに違いないという噂がある以上、
これから先も男色好きの人に迫られる可能性は大いにある。

女だとバレてはいけないのだから、
何としても私の体に触れさせるわけにはいかない。

マッチョで毛むくじゃらな荒くれ者の男色好きに迫られたら、
私の力では抵抗しようがない。

もしそうなったら、
もし私が女だとバレてしまったら……
それは士道に背くどころの騒ぎではない。

女に腹を切れとは言わないかも知れないけれど、
かわりに弟と父に腹を切らせろという話になるだろうし、
私は殺されても女郎屋に売り飛ばされてもおかしくないだろう。

それを確実に防ぐ方法は……
今のところみつからない。

新撰組内の男色好きの人達が紳士的で相手の意思を尊重する人ばかりであることを祈るくらいしかない。

力ずくで獣のように襲い掛かってくるような人が一人もいなければいいのだけれど、
荒くれ者ぞろいの新撰組にそういう人が一人もいないとは思えない。
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