土方歳三の熱情
嫉妬の対象はあくまで篠田伊之助としての私だけど、
それでも土方さんが嫉妬してくれてたんだとしたら嬉しいな。

木村さんは土方さんには男色の気はないって言ってたけど、
ああいう風に武田さんを追い払ってくれたのはやっぱりそういう意味なんじゃないのかな。


私はいつの間にか土方さんに男色を迫られる場面を想像している。

私の反応を確認しながらじわじわと優しく迫ってくる土方さん。

副長の権限を振りかざして強引に関係を迫ってくる土方さん。

いろんなパターンで迫られる状況を想像しているといつの間にか体が熱くなってくる。

こんなことを考えているような余裕なんてないはずなのに、
どうしても妄想が止まらない。

その時、私はふと正気にかえる。

もし本当に土方さんに男色を迫られたら私は拒むことができるのだろうか？

拒まなければ女だとバレて大変なことになってしまうと分かっているのに、
とても拒むことなどできないように思える。

拒まなければ死ぬしかなくなるのに、
それは絶対に許されることではないと分かっているのに、
それでも土方さんのことを拒みたくない。

いったい私はどうしてしまったのだろう。
< 48 / 72 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop