土方歳三の熱情
私は指差された座布団に座る。

「なんか緊張してないか?」

「それは、副長と話すのは緊張します」

「そうか? 今まではそんな様子もなかったが」

そりゃ新撰組の屯所で話すのと二人きりの邸内で話すのとはわけが違う。

なにしろ次の瞬間に土方さんが私を押し倒そうと覆いかぶさってくるかもしれないのだ。

そうなってしまえばその瞬間に私が女だとバレてしまう。

「今もいざとなったら刀を抜いてオレを斬る覚悟か?」

「え!?」

「今朝、町野の時はそういう覚悟だっただろ、
あの殺気はただごとじゃなかった」

「今の私に殺気を感じますか?」

「いや、今のところ感じないが、
オレが体に触れようとした瞬間に殺気が放たれる可能性があるのかないのかを知りたい」

「つまり、私の体に触れようというお心づもりなのですね?」

「オレが言いたいのは、
もしそうなってもおまえにはオレを斬る必要はないということだ」

「……それは……どういう意味ですか?」
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