土方歳三の熱情
「バレたら二人とも死ぬことになります。
そして新撰組も……」

「あぁ、なくなってしまうだろう。
それでもオレはおまえを手放したくはない。
こんな状況であってもオレは安らぎや幸せを感じることができるし……
必ずおまえのことも幸せな気持ちにさせてみせる」

それだけ言い終えると
土方さんは私のあごに指を添えて持ち上げる。

私が目を閉じると
土方さんの唇がわたしのそれに重ねられる。

私は新撰組に入った日からずっと、
いつか自分が女だとバレてしまうのではないかと不安でしかたがなかった。

その状況はちっとも変わっていないのに、
なぜだか私の心は今まったく不安を感じていない。

ずっとこのまま今の瞬間が続けばいいのに……

私はいま土方さんの腕の中で、
心の奥までとても暖かくて幸せな気持ちに満たされている。

とても幸せな気持ちに……


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