土方歳三の熱情
「いやぁ、急に親近感がわいたわ!
女のような顔立ちだから気が合わんかと思ったが、
意外と気が合いそうだの!」

さっそく気のいいゴリラを手なずけられそうだ。

直属の上司がこの人だったのは考えようによっては良かったのかも知れない。

少なくとも鋭い観察眼で私が女だということを見抜かれる、というようなことはなさそうだ。


「ところで諸士取調役兼監察方というのはどういう役割なのですか?」

「ああ、諸士取調役ってのが京の町で秩序を乱す輩を取り締まる役ってことで、
監察方ってのが新撰組の隊士が悪さをしないように見張る役っていうようなことだ」

「取り締まる……見張る……いったいどこまでの権限が与えられているのですか?」

「さぁ、そんなことは考えたこともねぇなぁ。
とにかく幹部達の次に偉いってことだ」

「局長や副長達の次ということですか?
一番隊から十番隊までの隊長方の次ということですか?」
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