孤高に笑う女
「本当によくできた娘だわ
母親として嬉しいわ」
「いえ、私がしたい様にしただけです」
母上とそんなやり取りをしているとふっと目を奪われる人が居た
その人を見ていると目が合いこちらへやって来た
「雪紀さん、初めまして
私、黒峰 天夜(あまや)と言います
よろしくお願いします」
その人物は黒峰家婿候補の黒峰 天夜と横に黒峰家現当主の黒峰 琉夜(りゅうや)さんだった
黒峰天夜という人は今まで会ってきた人の様な笑顔など見せず、そもそもわらわに興味がない様な眼をしている
この男に何かが惹かれる
つり上がった目に高い鼻、薄い唇と整っている
身長は185はあるだろうか父上より高く感じる
「どうも初めまして、天夜と言うのね?
天夜は見た目私と歳は変わらない様に感じるけど、何故私が10の時の誕生式に来てなかったの?」
皆が久しぶりと一度会った時があったがそれはわらわの10歳になる誕生式の日だ
その日は婿候補が儀式の前に唯一会える場でもある
あちらからすると唯一会える日でありわらわを祝えに行ける日でもある訳だが、それに来ないとは何かあったのだろう