孤高に笑う女
「人の感情は複雑だ
読み取る方が無理と言えよう
人の感情はその人にしか分からない
考えが分かったとしてもほんの一部だ」
確かにそうなのかもしれない
実際に今の俺の気持ちも複雑なものだ
自分でも分かりかねる
「わらわは醜い人間は嫌いだが天夜は違う
力を使って考えが分かったとして盗み聞きみたいな真似事はしたくない
天夜本人の言葉で判断したい」
もう、耐えられない
雪紀にあの歌を贈ったけど、あれは自分自身への歌でもあった
俺も殻にこもるのは止めよう…
「本当は分かってました
いえ、分かってた
でも、気づいてないふりをした」
雪紀を見ると真剣な表情で俺を見つめていた
急に敬語だった話し方が変わっても微動だにせず、俺の言葉の一言一句聞き逃すまいと前のめりで聞き耳を立ててくれている
あぁ、なんて愛おしい人なのだろう
「雪紀に歌ったあの詩は俺にも当てはめられていたんだ
殻にこもり人と距離をあける事で自分自身を保っていた
理由は俺のお母様に関係している…」