孤高に笑う女
お父様に母の容態を詳しく説明しに来たのか病室の前に医者が立っていた
'お母様'の今の状態なんて知りたくない
『星海さんの事でお話があります』
『分かりました、皆も一緒に…』
『俺は行かない!』
お父様の声を遮り病室を出ていった
後ろで呼び止める声が聞こえたが聞こえないふりをしてひたすら走った
どのぐらい走ったか分からない
いつの間にか雨も降っていて周りを見渡しても知らない建物ばかり
人1人見当たらず殺風景な町並みだった
だけど、今の俺にとっては落ち着く所だった
いったいどのくらいその場に居ただろう…
気づくと雨雲で元々黒かった空が一層闇にのまれていた
辺りを見渡すと雨音に紛れて人の話し声が聞こえてきた
自分には関係ないとその場を離れようとした時、それは目に飛び込んできた
黄金に輝く髪をなびかせる小さい女の子
それは闇によく映えるひとつの光に見えた
少ししか見えなかったが俺より確実に下の女の子なのは明らかなのだが、そうは思わせない雰囲気が漂っていた