残念なイケメン、今日も我が道をゆく
女子会ランチのあと、午後も事務処理の書類は溜まってくので私はサクサクとこなしていく。


すると、16時過ぎに外回りから御堂くんが帰って来た。
このパターンはまずい。
ギクッとしつつも、顔には出さずに仕事をしていた。


「江崎さん、この発注処理お願いします。あと、こちらは請求書の作成をお願いします」


そうして渡された書類の束。


「分かりました、期限は週明けになりますか?」


そう聞くと


「火曜日までに仕上げてくれたら大丈夫です。では、今日は夕飯を一緒に食べて帰りませんか?」


スマートに、仕事に関係ない誘いを卒なくつっこんでくる。


「今、仕事中。そして今夜は暇じゃないので、お断りします」


パソコンから視線をそらさずに言い切る。
これなら、はっきり言ってやったし問題ないでしょ。
そのままカタカタとキーボードを打ち続けていると


「美古都さん、俺は迷惑ですか?そんなに相手にしたくないほど」


その声はしょぼくれた凹んだ声だ。
思わず視線をあげると、御堂くんは相手してもらえなくて寂しいワンコのような表情だった。
今なら耳も尻尾も力なく垂れ下がっていそう。
くっ、イケメンだと寂しそうな姿にすら破壊力があるのか!
知らなかった、私が悪者みたいじゃないか!


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