残念なイケメン、今日も我が道をゆく
そのセリフとともに、私は初めて彼の前で満面の笑みを浮かべてやった。
すると、みるみるうちに御堂くんは耳まで赤くして、自身の手の甲を口に当てて狼狽えている。


「美古都さん、その笑顔は反則です!」


そう言って私の手を握りしめてきた。
私も握り返した。
そして微笑みあって歩き出した。


「美古都さん。離さないし、逃がさないから、安心してここに居てね?」


「そうね、イケメンだからモテるし、ハラハラさせられるのかしらねぇ。仕方ないけど、一緒に居てあげるわ」


毒舌こじらせ女子は擬態ナルシストだった残念なイケメンに捕獲されたのでした。


たぶん、一途だし、素直だし。
イケメンを抜きにしても、まぁ、いい男だと思うから。

そこそこ幸せになれるんじゃないかなと思っている。


Fin
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