残念なイケメン、今日も我が道をゆく
そう言うと


「江崎主任のデスクに置いていいんですか?それだと助かります!分かりました」


かなりホッとした顔をしているので


「割とみんなそうして使ってるのよ、私のデスクの未処理ケースは」


私のデスクにある未処理ケースに見積もりや受発注書を置いていく輩は多い。


事務主任であるので、事務処理は私が采配をふるう。
なので、期日と差し戻し先である自身の署名or捺印でそこに置くことを許可しているのだ。


「でも、それだと主任と話す機会が減りそうです。俺は顔みてお願いしたいので、なるべく使いません!」


「なら、17時までには持ってくる事ね」


サラっと流した。


営業に携わる営業マンは残業するが、事務方は繁忙期以外は基本残業禁止。


事務の女子社員の半数近くが現在既婚子育て世代であるが故の措置である。


そのおかげで我社の結婚出産後の離職率は低い。
産んだあとも働きやすい環境のある有難い企業なのだ。


「はい。ところで江崎主任、今度の営業部の新人歓迎会には参加しますよね?」


ちょこちょこ、私にまとわりつく残念なイケメン。


何故か私は、この超ナルシストに懐かれている。
手懐けた記憶は更々無いのだが、何故か懐かれた。


これも営業部の不思議として語られる光景である。
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