影月

真っ青な星の下、言い聞かせる様に、言い聞かせる。どうしても、嫌な事だ。どうしても、無理だったんだ。言い聞かせる。

「関係を辞めたい」

「突然ね。いいわよ、私の事好きになれたらね。そんな事言えないくらい」

「嫌だ。俺は、違う人に意思を向けて見たい。違う将来を夢見たい」

「相変わらず叶わない思いね」

とても綺麗な人で、とても聡明で、とても、魅力的で、とても、手が届かなくて、いつも、僕にとっては完璧で。

絶対に好きにはなれなくて。思うことすら許してくれなくて。

「では、美紅さんは、少しくらいは、気持ちを向けてくれるんですか?」

「私ね、」

聞きたくない。誰か、続きを遮ってくれ。頼むから、続きを遮ってくれ。

「結婚式、来たはずね」

何回失恋しても懲りない僕を蔑んでくれ。


< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop