セピアの世界
○デート

ボクと彼女は
駅で待ち合わせて
海へ行った。

夏休み。

学生のいない駅も
どこか新鮮で。
彼女の
私服姿も
とくべつに新鮮で。

エアコンの利いた
コンビニで
冷えた飲み物と
好きなお菓子を買って。

走ればすぐそこの
海を目指して
彼女の速度で歩く。

日差しは暑くても
気にならない。

海は青かった。

「また来ようね」

今、来たばかりなのに。
ボクは彼女に
言わずにはいられなかった。

靴を脱ぎ
波打ち際まで
走った。
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