セピアの世界
○打ち上げ花火

ボクの
住んでいる所では
一番最後になる
花火大会。

「ゆかたで来るって」

張り切っている、
彼女の様子を
母に伝える。

母も
父の形見の
ゆかたとやらを
出してきた。

渋い色合い。
父によく似合いそう。

着付けて
もらったボクは、
父に少しでも近づけ
鏡の中で
うれしかった。

空に広がる
花火の光が
彼女を照らし出す。

目に焼き付ける
夏の終わり。
< 16 / 40 >

この作品をシェア

pagetop