セピアの世界
○告白

駅から家までの
途中に、
割と広い公園がある。

落葉樹。
風が吹くと
音をたてるが、
今日は静かだ。

子供たちも
帰ってしまい。
彼女の話を
聞くために、
すべての物が
注目しているように
シーンとなる。

彼女は
ボクが驚かないようにか、
明るめに話しだす。

「母は病気で手術を受けるの」

あの日は
お母さんの状態が
危なかったから。
学校を休んでいたのは
お母さんの具合が
悪かったから。

あの日、
何も聞かずに
一緒にいてくれた
ボクに
とても感謝していると。

そして、
年明けには
お母さんの手術が
外国で受けられるかもと。

久しぶりの
彼女の声に。
ボクはぼんやりと
核心を見落としそうになる。

少しでも
お母さんの側に
居いたいという
彼女の思いを。



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