セピアの世界
○決意

「母に付き添って行こうと思うの」

彼女は
ボクを見て
言った。

急に
木々が
ざわざわしたように
思えた。

彼女の
迷いのない
瞳は
とてもきれいで。

いつまでも
見ていたいのに。
見つめ返せない
動揺した
ボクもいた。

毎日を
がんばっている
ボクの母と。
病気と
懸命に闘っている
彼女の母と。

ボクと彼女を
引き離す
神様と。
彼女の
まぶしい決意に。

ボクは
何も言うことが
出来なかった。
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