ぜんぶクリスマスのせいだ。
大量の菓子パンとクリスマス残業


……正直言って、むなしい。


ふらふらとした足取りで帰路につきながら、ふと思う。

重いからだはなかなか言うことを聞いてくれなくて、ほろほろと落ちてくる雪は容赦なく体を冷やして、なんでもいいからとにかく今すぐ、あったかいお風呂に入りたい。

すれ違うひとは皆、腕を組ながら楽しそうに歩く大量のカップル。
本当だったら私も、“そっち側”にいく予定だった。少なくとも、こんな雪がふるクリスマスの日に一人残って残業なんかしている予定ではなかった。


“ごめん、結婚はまだいいかなって。
なんか、まだそこまで考えられなくて”

つい4日前まで付き合っていたひとに言われた言葉。
付き合って四年が経とうとしていたときだった。もうそろそろかな、とそれとなく結婚をちらつかせてみると、彼は呆気なくそう言った。

だったらなんで四年も付き合ってたのよ……!
……男の四年と、女の四年は違うんだよ。
いつの間にか三十路前で、クリスマス前にフラれた女をどこの聖人が拾ってくれるっていうの。


4日前の出来事を思い出しながら、少し積もってきて薄い氷が張った地面をどしどしと踏みつけながら歩く。

……帰って自炊するのもめんどうだなぁ。
もうコンビニかどっかでテキトーに買って帰ろうかな。いや、それはそれで空しすぎない?

コンビニ弁当が頭に浮かんで、その光景があまりにも悲しいものだったから、強く息をはいてコンビニという選択肢を振り払う。はぁっと吐いた息は、落ちてくる雪をなびかせて、溶けるように白くなった。その光景もなんだか悲しかった。


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