ぜんぶクリスマスのせいだ。
「……どうも」
「うわ、顔も声も死んでるぞ」
大袈裟に顔を歪めてそう言った三宅を、ぎろりと睨む。
……ちがう。今日はあんたにかまっていられる気力はもうない。
またふらふら店内を歩き、パンを物色する。
すると三宅の持っているトレイの上にのっている大量の甘そうな菓子パンが目についた。
「え……」
「なんだよ」
思わずもらした私の声に、三宅が不機嫌そうに眉間にシワをよせた。
……いや、だって、あの悪魔みたいな三宅が、
いつも無駄に絡んできては、むかつくことしか言わないような口の悪い三宅が、
「……甘いもの、すきなの?」
「……っ、だったらなんだよ。悪いか」
頬を少し赤く染めて、イライラした様子でそう言い放った三宅。その言葉にたえられなくなって、私はとうとう吹き出した。
「あ、お前なに笑ってるんだよ」
「ご、ごめん。でもなんか可愛くて……!」
そう言って尚も笑い続ける私を三宅はぎろりと睨んで、いつの間にか会計を済まして、早々に出ていこうとする。