ぜんぶクリスマスのせいだ。
思わずネガティブな考えでいっぱいになっていた頭を左右にふり、どうにかネガティブを退散させる。
そして三宅に続いて私もサンタパンにかぶりついた。
うん!おいしい!
やっぱりここのパン屋さんのカスタードクリームが一番すきだなぁ。
サンタパンの中のカスタードとイチゴクリームを堪能しながらそんなことを思う。
すると横からまた小さな笑い声が聞こえてきた
。
「……また色気ないって言いたいんでしょ」
「まぁ、ちょっとは思ったけど、いいんじゃない?
お前らしくて」
ふっと鼻で笑った三宅にイラッとして、すかさず三宅を睨む。かなり強い怒りの視線をぶつけてみても、三宅は涼しい顔でパンを食べ続ける。
……私らしいってなによ。どうせ色気より食い意地はってますよ!
怒りを振り払うように、また勢いよくパンにかぶりつく。
「……いちいちむかつく言い方するよね三宅って」
「口に物入れながらしゃべんな。
それにさっきのは褒めてるんだよ。素直に受けとれ」
「え……?」
甘いカスタードを味わいながら言った私の口元についていたクリームを拭いながら、三宅は今度は優しく笑った。
色気がないのがお前らしい、のどこがほめ言葉なの?
不快感を表そうと自然と眉に力が入る。
再び三宅を睨むと、三宅はあろうことか私の口元についていたであろう、彼が拭って彼の指についたクリームをなんてことないような素振りで舐めた。
そして気がついたら、彼の顔がわずか数センチのところにいた。