ぜんぶクリスマスのせいだ。
「み、三宅?なにしてるの?」
「気取ってむりに繕おうとするより、そうやって美味しそうにパンを頬張ってるとこがお前らしくて、かわいいって言いたかったんだ」
「え……っ」
ガードレールに手をつきながら少し前に屈む三宅。そして、ちゅっとかわいらしい音をだして私の口元に彼の唇が触れた。
は……?
……なにこれ。なにそれ。私今三宅となにしたの?
情報処理が追い付かなくなってフリーズした。
三宅はそんな私を見て、また小さく笑いながら、再び顔を近づけてくる。
「ま、待って!三宅本当にどうしたの!?」
「クリスマスに好きでもない同僚と道端でパンを食べて過ごす寂しい誰かさんを慰めてやろうと思って」
「さ、寂しくないし!そんな慰めいらないから!」
抗議してみても尚も近づいてくる三宅の胸を強く押す。
え、なに?これなにどういう状況?三宅ってこんなホストみたいなこと言うキザなやつだったっけ?
たりない頭で必死に処理しようと考えてみる。その間にも、いつの間にか三宅に握られていた左手から三宅の熱が伝わってくる。
“好きでもない同僚ってとこは否定してくれないんだ”とぼそっと悲しそうに言った三宅に思わず目を奪われた。
……ちがう。そんなこと言ってる場合じゃない。
三宅だって、“好きでもない同僚”と過ごしてるくせに。
なんでそんな悲しそうな顔するの。