その手が離せなくて
「綺麗・・・・・・」
小さく呟いて、ロビーの真ん中に備え付けられた水槽をじっと見つめる。
青くライトアップされたそれは、まるで天の川の様にロビーの真ん中から横に大きく広がっている。
ゆっくりと腰を持ち上げて、導かれるようにその水槽に近寄った瞬間、思わず歓喜の声を上げた。
水槽の中には、名前なんて分からないけど小さな魚達が気持ちよさそうに泳いでいた。
赤や黄色などの色鮮やかな魚達が、真っ青な空間に浮かび上がるその光景は、なんだかとても幻想的だった。
「ふふっ。なにかのご褒美みたい」
視線を水槽の向こう側に向ければ、窓ガラス一面眩しい程の夜景。
そして、視線を元に戻せば目の前には幻想的なオアシス。
なんだか得した気分だ。
縦横無尽に泳ぐ魚達の姿を、ただただ見つめる。
まるで一枚の絵の様だと思って、口元を緩めた。
その時――・・・・・・。