その手が離せなくて
繋がったまま、抱きしめあう。

荒かった彼の呼吸も落ち着いて、ようやく顔を上げた。


「大丈夫?」

「ふふっ、何が?」

「体」

「大丈夫だよ」

「よかった」


クスクスと笑う私の顔を見て、つられる様に彼が笑った。

精悍だった顔が、まるで猫の様になった。


「早く服着なきゃ風邪引いちゃうよ」

「ん~もう少し」

「ふふっ、本当に大きな子供みたい」

「さっきまで柚葉が子供みたいに泣いてたくせに」

「泣いてなんてないよ」

「違うか。〝鳴いて″たのか」


まるで悪戯っ子の様に意地悪そうな顔をした彼を見て、一気に顔が真っ赤になる。



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