その手が離せなくて
「っていうか、いつになったら名前で呼んでくれるわけ?」

「私、名前で呼んでなかった?」

「一ノ瀬さん。だったな」

「・・・・・・そっちの方がしっくりくるんだもん」



――彼は、私をどう思っているんだろう。


ただの話し相手?

都合のいい女?

少し気の合う、友達?

セックスフレンド?

それとも――?


彼の心を知りたいけど、聞いてはいけない気がする。

知るのが、怖い。が正解かもしれないけど。


会えば会うほど、好きになっていく。

私はもう、彼がいないと、生きていけない。

そうならない様にしていたのに、もう手遅れだった。


だから、彼が私の事を単なる都合のいい女と思っていたら、きっと私は壊れてしまう。

ただ単に、日々の生活のスパイスとして・・・・・・だなんて、耐えられない。

同じ気持ちを求めてなんていけないのに。

それでも、同じものを求めてしまう。

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