その手が離せなくて
雰囲気のいい空間だからだろうか。

心地よく酔っているせいだろうか。

目の前で楽しそうにビールを飲む彼が、魅力的に見えて目が離せない。


「いいね。仕事を頑張ってる人って、見ていてキラキラしてる」

「あ、私も単純なんで褒めると調子に乗りますよ?」


ガヤガヤと騒がしい店内に2人の笑い声が響く。

驚く程時間が経つのが早くて、強くもないお酒がまるで嘘の様に進んだ。


「望月さんって、なんとなくだけど俺と似てる気がする」


不意に一ノ瀬さんがそう言って、そのビー玉の様な瞳で私を覗き込んできた。

その言葉に、思わずポカンと口を開けて固まってしまう。


――だって。

私も一緒な事を考えていたから。


なんとなく似ている私達。

空気感というか、価値観というか。

どこか共鳴している様に感じる。


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