その手が離せなくて

「応援したいと思う私は、もっとバカだよっ」


彼女から落ちた言葉に、ポロリと涙が頬を伝った。

思わずギュッと彼女の小さな体を抱きしめて、肩に顔を埋める。


「どうして、そんな幸せそうな顔で笑うの!」

「・・・・・・ん」

「どうして、幸せになろうとしないのっ」

「うん」

「普通の幸せを欲しがってよっ」

「うん」

「未来のない恋なんて、捨ててよっ」

「ん」

「バカ柚葉っ」


ギュッと私を抱きしめた萌の背中をポンポンと叩く。

涙で声が出なかったから。


「お願いだから、幸せになってよ・・・・・・柚葉」


ありがとう、と思う。

こんな、どうしようもない私の事、大切にしてくれて。

見放さないでくれて。


「ありがとう萌。大好き」


側にいてくれて。

< 202 / 366 >

この作品をシェア

pagetop