その手が離せなくて
罪
「ん~~~っ」
青空の下、大きく背伸びをして空を仰ぐ。
視線の先には満開の桜。
私の一番好きな季節になった。
「満開だ」
ポカポカと温かい陽射しを受けて、無意識に頬が緩む。
過ぎ去っていく人々も、満開の桜を見て足を止めていた。
昼時という事もあって、オフィス街のここは財布片手に沢山の人達で溢れ返っていた。
そんな人達を見ながら、サンドイッチを頬張っていると。
「あ」
不意に携帯が鳴って、視線をそちらに向ける。
すると、画面に映し出された名前を見て一気に笑顔が零れた。
『満開』
メールの画面を開くと、その言葉と共に綺麗な桜の画像が添付されていた。
きっと外回りの最中なんだろう。
ふふっと小さく笑って、私も目の前に見える桜を撮る。
そして、同じ様に『満開』と添えて画像を送った。