その手が離せなくて
ケラケラと互いに笑いあって、緑の世界を眺める。
心地い風が拭く度に、そっと目を閉じて深く息を吸い込んだ。
心がとても穏やかだった。
隣に彼がいる事で、世界が輝いて見えた。
そっと手を繋いで、近くにあったベンチに腰掛ける。
他愛もない話をして、笑いあう。
会話が例え途切れたとしても、何故か心地良い時間が私達を包んだ。
それから一緒にドライブをしながら、いろんな所を回った。
見上げる程高い場所から落ちる滝や、まるで映画の世界みたいに綺麗な田園風景。
彼が美味しいと言ったジェラートの店や、お蕎麦のお店。
2人手を繋いで、歩く。
それでも、すれ違う人達は私達の事を何も知らない。
きっと、カップルか何かと思っている。
まさか、こんな関係だとは思ってもいない。