その手が離せなくて
どこか申し訳なさそうに微笑んだ彼に微笑み返す。
一気に夢から現実に戻ったみたいで、悲しくなった。
魔法が解けて、いつもの孤独と切なさが襲う。
タイムリミットが来たんだと、頭の中で誰かが呟いた。
「・・・・・・そうだね」
本当は帰りたくなんてなかったけど、小さく頷いて車へと向かう。
もっと一緒にいたい。なんて、そんな我儘言えない。
今日1日一緒に過ごせただけも凄い事なんだから。
駄々をこねて、めんどくさい子だと思われたくない。
嫌われたくなくって、いい子を演じる。
――だって、それくらい私達はどこか紙一重の関係だから。
どれだけ一緒にいようと、同じ景色を見て笑いあおうと、帰る場所は違うのだと思い知らされる。
一緒に夜を過ごして、一緒に朝を迎える事はないんだって。
これから一緒の家に帰れたら、どれだけ幸せだろうと、沈んでいく真っ赤な夕日を見て思った。