その手が離せなくて

「そうだな~」

「うんうん」

「――――人間らしい人。かな」


しばらく考えた後、彼がポツリとそう呟く。

それでも、その言葉の意味が分からなくてパチパチと瞬きを繰り返した。


「人間らしい人?」

「そう」

「待って待って。具体的には」


思わず前のめりになって問いかける。

すると、横目でチラリと彼のビー玉の様な瞳が私を捉えて、柔らかく細められた。


「思いっきり笑いたい時に笑って、怒りたい時に怒って、泣きたい時に泣く」

「――」

「そういう、どこか人間臭い人かな」


想像もしていなかった答えに、一生懸命自分なりに解釈する。

様は、自分の感情に素直な人って事?

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