その手が離せなくて
「ゴミよ。あなたは人間のクズよ。人の旦那に手を出して」
「ご・・・・・・め・・・・・・さい」
「はい?」
「ごめんなさいっ」
何度も頬が焼ける様な痛みを生んだ。
それでも、抵抗する事なく地面に倒れ込んではされるがままになっていた。
そんな中、ようやく出た言葉は小さく震えていた。
それでも、真っ赤な頬を押さえていた手を地面について、頭を下げた。
「ごめんなさいっ」
グッと唇を噛みしめて、地面に頭を付ける。
それでも、上から落ちてきたのは嘲笑うかのような声。
「悪いと分かっているなら、どうして不倫なんてしたの」
「――」
「都合のいい、性欲処理機のクセにっ!!」
その言葉が胸に落ちた瞬間、泣きたくなった。
それでも、何故か心は静かになっていった。
ガタガタと震えていた心が静まって、締め付けられたいた心は存在を消した。