その手が離せなくて
付け足した様に零れた言葉が、過ぎ去っていった電車の音にかき消される。
好き。と断言できなかった自分に、嫌気がさす。
それでも、5年間ずっと寄り添った彼氏よりも、今の私の心の中は、あの日の事でいっぱいだった。
「・・・・・・また、会えるかな」
『え? 何? 周りが煩くて聞こえない』
「ううん。何でもない。電車きたから切るね」
萌の煮えきらない返事を聞いてから、電話を切る。
途端に零れたのは、大きな溜息だった。
――――あの合コンパーティーから2週間が過ぎた。
仕事が忙しくてあっという間だったけど、彼と過ごした時間は少しも色褪せる事なく心の中に刻まれている。
どこか変わった出会いだったからだろうか。
過ごした時間が楽しかったからだろうか。
何をしていても、どこにいても、考えてしまう。
どうして、連絡先を交換しなかったんだろうって――。
好き。と断言できなかった自分に、嫌気がさす。
それでも、5年間ずっと寄り添った彼氏よりも、今の私の心の中は、あの日の事でいっぱいだった。
「・・・・・・また、会えるかな」
『え? 何? 周りが煩くて聞こえない』
「ううん。何でもない。電車きたから切るね」
萌の煮えきらない返事を聞いてから、電話を切る。
途端に零れたのは、大きな溜息だった。
――――あの合コンパーティーから2週間が過ぎた。
仕事が忙しくてあっという間だったけど、彼と過ごした時間は少しも色褪せる事なく心の中に刻まれている。
どこか変わった出会いだったからだろうか。
過ごした時間が楽しかったからだろうか。
何をしていても、どこにいても、考えてしまう。
どうして、連絡先を交換しなかったんだろうって――。