その手が離せなくて

呼び出された会議室の前で立ち止まって、息を吐く。

重たい気持ちのまま、小さくノックをして扉を開けた。


「失礼します」


電気も点いていない部屋に、部長が一人窓際に立っていた。

綺麗な青空が目に映って、なんだか異世界の様に感じる。

今の私に、暖かかな世界や綺麗な景色は似合わない。


「座って」

「・・・・・・失礼します」


淡々と落ちた部長の声。

もう、私の顔すら見てくれない。


「君の処分についてだ」


しばらくの沈黙の後、ポツリと告げられた言葉に瞳を下げた。

なんだか、もうどうでもよかった。


綺麗な空も、目が覚める様な緑も、流れていく雲も。

冷たい視線も、聞こえるヒソヒソ声も、疎外感も。

もう、どうだってよかった。

もう――。


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