その手が離せなくて
「やっと・・・・・・会えた」
耳に届く、懐かしい声。
胸の中にすっと入って、震わせた。
導かれる様に瞳を開けた先に見えたのは、愛おしい姿。
何度も思い出の中で描いた、その姿。
思わず目を見開いて、息を詰める。
「う・・・・・・そ」
目の前に現れた人が信じられなくて、目を瞬く。
私は狂ってしまったのだろうか。
会いたすぎて、幻でも見ているのだろうか。
それでも。
「柚葉」
聞こえた声が、これが幻ではない事を教えてくれる。
夢ではない事を教えてくれる。