その手が離せなくて
「・・・・・・意地っ張り」

「え?」

「柚葉の意地っ張り!!」


今にも泣き出しそうな萌を見て、瞬きを繰り返す。

だけど、一向にその言葉の意味が分からなくて首を傾げた。


「本当は九州なんて、行きたくないクセにっ」

「――」

「本当は泣きたいくせに、辛いくせに、悲しいくせにっ」

「萌・・・・・・」

「あっちで辛くなったら誰が柚葉を支えるの? 誰が一緒に泣いてくれるの? あっちに行ったら柚葉は一人なんだよ?」


萌が腰を上げた瞬間、テーブルの上に乗っていたカップがガシャンと音を立てる。

それでも、そんな事気にする事なく萌は私に詰め寄った。


「本当に一生会わないつもりなの?」

「ねぇ、萌」

「それで、柚葉は壊れてしまわないの?」

「ねぇ、萌。どうして萌が泣きそうなの?」

「柚葉が泣かないからでしょ!!」


首を傾げて問いかけた私に、萌は大きな声でそう言った。

周りの視線なんて全く気にもしないで。


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