その手が離せなくて
◇
「合コンパーティー?」
眉間に皺を寄せた私を見て、萌(もえ)はケラケラと笑った。
そして、素早く携帯を取り出してその画面を私の顔に突き付けた。
「そう。一緒に行こうよ」
「やだよ。っていうか私彼氏いるし」
「2名1組だったんだけどさ、友達用事入っちゃって」
「ねぇ。私の話聞いてる?」
唇を尖らせた萌の顔を覗き込んで、そう言う。
それでも、マイペースな萌はすっかり私を合コン要員として入れている様だ。
「場所はここ。ね? なかなかいいホテルでしょ」
「確かにいいホテルだけど、私行かないよ?」
「えー!! なんで」
「だから彼氏いるって」
超が付くほどのマイペースな萌。
名前の通り、女の子らしい容姿と完全なる妹キャラ。
まったりした空気を纏った、大学時代からの友人。