その手が離せなくて
「望月は出席でFAX流しておいたから」
本当にこの人は適当なんだから。
そう思っていた時に言われた一言に、目が点になる。
一瞬言葉の意味が分からずに、ポカンと口を開けて固まった私を見て、上司が不思議そうに首を傾げた。
「あたり前だろ。この取引先には世話になってるんだ」
「でも、温泉ってっ!!」
「これも仕事のうちだ。詳しく分かったら連絡が入るだろ。お前のパソコンのアドレスを送っておいた」
また勝手にっ!!
どうして当の本人に何の確認をせずに、そうトントンと話を勝手に進めているんだ!!
怒りで思わず掴みかかりそうになったけど、我に返って耐える。
「お前とペアのやつは子供の学校行事があるとかで行けないそうだ」
「はいっ!?」
逃げたな!! と思って、一緒に担当している先輩を睨み付ける。
すると、あからさまに視線を外した所を見て、子供の学校行事なんて嘘だと悟る。
卑怯者!!