呆れるくらいに君が恋しい。

高梨 優愛side

「何で逃げんの。」
ねぇ。
そう言って右手で私の腕を掴む君。

事の発端は金曜日。
「もうすぐバレンタインだね!」
買う?手作りでしょ!
誰にあげる?てか何作る?
そんな感じで友達と盛り上がってた。
すると、友達の一人が
雑誌を持ち出してきたんだ。
「ねぇ、見て!
バレンタイン特集やってるー!」
そこに載ってたのは、
チョコレートの作り方から渡し方まで。
そのなかでも『サプライズ』っていう
文字に心惹かれた。

──────**
サプライズで、
いつもは余裕な彼を
ドキドキさせちゃおう!!

『俺には無いのかな?って思ってたら
“サプライズ”で渡されて、
普通に渡されるよりも
ドキドキしました。22歳男性』

『付き合って1年目の彼女に
“サプライズチョコ”を貰い、更に
彼女の事が好きになりました。19歳男性』

**───────────*──**─

そんなページを凝視してたら、
「サプライズにするの?」
って友達に聞かれる。
「なんか、私ばかり
いつも振り回されてるから
バレンタインくらいは
私が薫のことを振り回したいな、って。」
そう言うと
「かーわーいーいー♡」なんて
友達にからかわれる。
頭をよしよしって撫でられて
やめてよ、ってその手を軽く振り払う。
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