呆れるくらいに君が恋しい。
「颯ー…、花火行こうよ~」
振り向いた先には、
元気のなさそうな菜瑠の顔。
「は?…後輩は?」
黙った菜瑠を見て想像ついた。
誰もいなかったってこと。
思わず笑みがこぼれた。
それは安堵と、自嘲。
もしもって少し不安だった。
もしも。もしも、、
後輩の男と二人で行くことになったら。
俺の知らないとこで
違う男と二人きりなんて
俺はきっと後悔してたから。
馬鹿だなぁ、俺は。
笑った俺を見て何か勘違いした菜瑠は
怒って後ろを向く。
その手を引き留めて
「しょうがねぇから言ってやるよ」
ああ、どこまでも素直になれない。
それでも笑ってくれた君に
またわがままを言ってしまうけど許してよ。
「そのかわり、浴衣着てきて。」