クールな公爵様のゆゆしき恋情2
迷っている内に、晩餐会が行われる大食堂に到着した。
王宮やフェルザー城の食堂とは比べるまでも無いけれど、一点の曇りもなく磨き抜かれた調度品と、色鮮やかな花々で飾られたその空間は、ヒルト家の精一杯の歓迎の意を表していた。
アレクセイ様と私は上座に着席し、それを合図に会食が始まった。
「ラウラ様のご実家のアンテス辺境伯領にも鉱山があると聞いております。一度この目で見たいものです」
会食の途中、ヒルト男爵がそんな事を言い出した。
ここは鉱山の街だから話題としては不思議は無いけれど、アンテス辺境伯領の鉱山に興味を持つのは意外に感じた。
「アンテスの鉱山はこのリードルフに比べれば小規模なものです。とても参考になるとは思えませんが」
「いえいえ、是非拝見したいものです。許可を頂けないものでしょうか?」
ヒルト男爵は妙にしつこく食いついてくる。
違和感を覚えながらも私は応えた。
「お役に立てなくて申し訳ないありませんが、私にはその権限がありませんので、父か兄の許可を得ないといけません」
「ではラウラ様からお口添え頂けないでしょうか? それでしたら断られることはないでしょうから」
ヒルト男爵からの依頼に私が答えようとするより早く、少し不機嫌そうなアレクセイ様の声が割り込んで来た。
「男爵、ラウラは今はフェルザー家の人間だ。アンテスの鉱山をどうしても見たいのなら、お前から正式に辺境伯殿に申し出ろ」
「も、申し訳御座いません」
ヒルト男爵が顔色を変え、アレクセイ様に頭を下げる。
アレクセイ様の機嫌を損ねてしまったことに気付いたのだろう。
気まずい空気が流れる。他の人達も皆アレクセイ様を恐れているのか、発言する人がいないのだ。
この場は、妻の私が上手く取り繕って、なんとか和らげなくては。
そう思い口を開きかけたけれど、私が声を発するより早くヘルミーネ様の張りのある声が辺りに響いた。
王宮やフェルザー城の食堂とは比べるまでも無いけれど、一点の曇りもなく磨き抜かれた調度品と、色鮮やかな花々で飾られたその空間は、ヒルト家の精一杯の歓迎の意を表していた。
アレクセイ様と私は上座に着席し、それを合図に会食が始まった。
「ラウラ様のご実家のアンテス辺境伯領にも鉱山があると聞いております。一度この目で見たいものです」
会食の途中、ヒルト男爵がそんな事を言い出した。
ここは鉱山の街だから話題としては不思議は無いけれど、アンテス辺境伯領の鉱山に興味を持つのは意外に感じた。
「アンテスの鉱山はこのリードルフに比べれば小規模なものです。とても参考になるとは思えませんが」
「いえいえ、是非拝見したいものです。許可を頂けないものでしょうか?」
ヒルト男爵は妙にしつこく食いついてくる。
違和感を覚えながらも私は応えた。
「お役に立てなくて申し訳ないありませんが、私にはその権限がありませんので、父か兄の許可を得ないといけません」
「ではラウラ様からお口添え頂けないでしょうか? それでしたら断られることはないでしょうから」
ヒルト男爵からの依頼に私が答えようとするより早く、少し不機嫌そうなアレクセイ様の声が割り込んで来た。
「男爵、ラウラは今はフェルザー家の人間だ。アンテスの鉱山をどうしても見たいのなら、お前から正式に辺境伯殿に申し出ろ」
「も、申し訳御座いません」
ヒルト男爵が顔色を変え、アレクセイ様に頭を下げる。
アレクセイ様の機嫌を損ねてしまったことに気付いたのだろう。
気まずい空気が流れる。他の人達も皆アレクセイ様を恐れているのか、発言する人がいないのだ。
この場は、妻の私が上手く取り繕って、なんとか和らげなくては。
そう思い口を開きかけたけれど、私が声を発するより早くヘルミーネ様の張りのある声が辺りに響いた。