クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「あ、ああ。街を見て回ったと言っただろう? ヘルミーネに案内をして貰っていたんだ」
「男爵令嬢のヘルミーネ様自らが案内を?」
「ヘルミーネは亡き男爵夫人に変わり、領主夫人の仕事をこなしている為、リードルフの街について誰よりも詳しい。案内を買って出てくれて……」
「私には晩餐会の支度が間に合わなくなると言っていたのに、ヘルミーネ様のことは連れていったのですね」
少しふくれて言うと、アレクセイ様は慌てた様に上半身を起こし、続いて私の上半身も引き上げる。
ベッドの上で向かい合わせに座る形になった私達。アレクセイ様は困ったような表情を浮かべて言った。
「ラウラ……怒ってるのか?」
「怒っている訳ではありません」
ただ、もやもやとして納得がいかないのだ。
「顔が恐くなっているぞ」
「……怒ってませんが、笑顔になれない気持ちなんです」
私にしては珍しくはっきり言うと、アレクセイ様は動揺したように瞳を揺らした。
「ヘルミーネのことでなにか誤解をしているのか? 彼女とはラウラが心配するようなことは何もない。この地で頼りになる存在なことは確かだがそれ以上の感情は無いからな」
「……分かっています。ヘルミーネ様が優れた女性で、アレクセイ様の力になり得る方だってことは、晩餐会でわずかな時間を過ごしただけで気付きましたから。でも頭では理解していても香水の香りが移るほど二人は側にいたんだと思うと……ごめんなさい、ただのやきもちなんです」
段々と自分が情けなくなってくる。
配下の令嬢にいちいち嫉妬してしまうなんて、公爵夫人としてはあるまじきことだ。
どうすればもっと余裕を持つことができるのだろう。
アレクセイ様は少しの間黙り込んでいたけれど、やがて落ち込む私を抱きしめてきた。
「男爵令嬢のヘルミーネ様自らが案内を?」
「ヘルミーネは亡き男爵夫人に変わり、領主夫人の仕事をこなしている為、リードルフの街について誰よりも詳しい。案内を買って出てくれて……」
「私には晩餐会の支度が間に合わなくなると言っていたのに、ヘルミーネ様のことは連れていったのですね」
少しふくれて言うと、アレクセイ様は慌てた様に上半身を起こし、続いて私の上半身も引き上げる。
ベッドの上で向かい合わせに座る形になった私達。アレクセイ様は困ったような表情を浮かべて言った。
「ラウラ……怒ってるのか?」
「怒っている訳ではありません」
ただ、もやもやとして納得がいかないのだ。
「顔が恐くなっているぞ」
「……怒ってませんが、笑顔になれない気持ちなんです」
私にしては珍しくはっきり言うと、アレクセイ様は動揺したように瞳を揺らした。
「ヘルミーネのことでなにか誤解をしているのか? 彼女とはラウラが心配するようなことは何もない。この地で頼りになる存在なことは確かだがそれ以上の感情は無いからな」
「……分かっています。ヘルミーネ様が優れた女性で、アレクセイ様の力になり得る方だってことは、晩餐会でわずかな時間を過ごしただけで気付きましたから。でも頭では理解していても香水の香りが移るほど二人は側にいたんだと思うと……ごめんなさい、ただのやきもちなんです」
段々と自分が情けなくなってくる。
配下の令嬢にいちいち嫉妬してしまうなんて、公爵夫人としてはあるまじきことだ。
どうすればもっと余裕を持つことができるのだろう。
アレクセイ様は少しの間黙り込んでいたけれど、やがて落ち込む私を抱きしめてきた。