クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「医師の必要はありません。皆仕事の後で疲れているのです。今は部屋に戻るまでの休憩をしているだけですから」

「でも……」

休憩というには、随分と苦しそうに見えるけど。

「この光景は、今に始まったことでは有りませんのでご心配なく」

「いつもこのような様子なのですか?」

院長は何でもないように言うけど、その方が問題ではないの?

子供がここまで弱ってるのにいつもの事と気にも留めないなんて、このままでは成長にも影響してしまうと思うのだけど……。

だけどそう訴えても、院長は全く心配した様子もなく、淡々と説明してくれた。

この孤児院の子供達は、将来自立する為に、世話役の修道士やシスターから必要な教育を受けている。
それとは別に、それぞれに役割を与えられているそうだ。

十歳までの子供は、孤児院内の掃除や洗濯、食事の支度を手伝うこと。

十一歳から十五歳の子供は、近くの採掘場での手伝い。

そして、十六歳の誕生日を迎えると、孤児院を出て独立する。

独立した子供の多数は、そのまま採掘場での仕事に就き、近くの共同住宅で暮らすそう。
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